2021年4月10日土曜日

太陽の照射

 ヘルメットを被ったから、あゝ今日は自転車で山へ向かうのだなと思った。だからカメラを持って急いで2階に上がって、ベランダから山道を登って行く姿を眺めた。その後の風景は、ガハクしか知らない。

どうだった?と聞けば、「春の真っ只中だったよ。こんなに明るいものかと思ったよ」と言う。昨日も歩いて登っているのに、今日は太陽の照射が激しかったようだ。

受け手に応じて照らされるのだろうか?太陽は貧しい者にも富んだ者にも同じように降り注ぐというけれど。ガハクには特別に強い光が当たっている。

ガハクが山に出かけている間に、歯医者さんへ歯のお掃除に行き、そのついでに街のスーパーに買い出しに行った。魚売り場で値引き品を眺めていたら、ケイタイが鳴った。製材所の社長からで、アルバイトの要請だった。ガハクと二人して来て欲しいとのこと。急に購買意欲が湧いて、次々とカゴに入れたら満杯になった♪力を付けなきゃならないので。(K)



2021年4月9日金曜日

トワンの山に春が来た

新芽が綻び、トワンの山にも春が来た。

久しぶりにガハクが自転車で山に入った。何年も眠ったままだったガハク号が復活したのだ。『白い人の谷』からブレーキ音が聞こえて来た。まだ調整をしていないからディスクが鳴るのだ。後ろは9段ギアで8枚目で登れたそうだから、さすがだキャリアが違う。私は9枚目を使ってやっと登っている。そのくらい山の入り口から傾斜がキツい。

もう乗ることもないだろうと言っていたのに、部品を取り寄せて組み立てて、一度はオイル漏れで自信を失くしそうになったけれど再度チャレンジして直した。

もう150号なんてとても描けないだろうと言っていたのに、退院して一月して最初に向かったのがその150号だった。春はすごいね♪(K)



2021年4月8日木曜日

フォークリフトのタイヤを新調

 コマツフォークが手配してくれたタイヤショップの作業車が、12時過ぎに到着。

心配していた固定ボルトは難なく外れたが、ホイールがなかなか外れない。潤滑油を両側からスプレーして、大ハンマーでガンガン叩いていた。そして、やっと外れた時にはホッとした。さすがプロフェッショナルだ。

途中で携帯がかかって来て誰かと話していた。後でガハクに聞けば、「まだ若いのに誰かにアドバイスしていたよ」と、別の現場にいる人に打開策を与えていたらしい。うちのフォークのようなポンコツでも、こうやって何とか再生してくれる。ありがたいことだ。

ハンマーを振る度に揺れる前髪がツヤツヤで、つい目が行く。ガハクもそうだったようだ。「話していて、こっちが恥ずかしくなったよ」と、うちの庭にも春が来た♪(K)



トワンの背に乗って

 トワンの背中に乗ってどこまでも駆けて行くんだ。悪意からどんどん遠ざかって、もうここまで来れば大丈夫かしら?
「下を見ちゃダメ。後ろを振り向いちゃダメだよ。僕の方を見て!」

今朝消防車のサイレンで目が覚めた。何処だろうと耳を澄ましていたが、だんだん山の方へと遠ざかり、やがて聴こえなくなった。ツイッターを見たら、すぐに情報が取れた。防災飯能のアカウントが詳細を伝えている。アトリエがあった場所の近くだ。番地まで教えてくれている。検索したら、Googleの画像まで出て来て、よく知っている家だった。1時間半ほどして、鎮火したとのツイートが再び投稿された。

川沿いの細い道を塞ぐようにして並んでいる赤いポンプ車が、目に見えるようだった。何もないことの平安を知らずにいると、退廃する。躓きの棒っきれが置かれたら、ひらりと乗っ越す跳躍力を鍛えておこう。

金魚の池に山の湧水を入れてやった。11匹の金魚たちが喜んで流し込む水の方に近寄って来る。18ℓポリタンで2回運んだ。一輪車でスイスイと。踏切を渡ったところに蛇口があるんだ。ちょっと面白い日課だ。

馬が前を見ている。もう振り向かない。(K)



2021年4月6日火曜日

大理石で彫った『山』

最初に大理石で彫ったのが、山だった。アトリエの正面に聳え立つ山を毎日スケッチした。木炭デッサンもした。水彩絵具で色も付けた。坐骨神経痛で足が萎えて動けなくなった30代前半の頃だ。石は彫れなくても、絵なら椅子に座って描けたんだ。だんだん回復して来た時、それまでの御影石に比べて体力的に楽そうに思えた大理石でその『山』を彫り始めた。それが私の大理石彫刻の始まり。

トンネルだって彫ってある。山の斜面を横切る線路は、独りで過ごす寂しさを紛らわしてくれた。ときどき孫を連れてやって来る近所のお爺さんは、子供と一緒に電車に向かって手を振っていた。通り過ぎる車内の人たちが手を振り返すこともある。ほんの30年前は、皆電車を見ると手を振ったんだ。今はもう、誰も、そんなことはしない。

床に一つだけ残った彫刻は『広い道、狭い道』だ。また続きを彫ろう。(K)



2021年4月5日月曜日

どんどん変化する顔

 顔がまた変わった。この目には、この人の気性の強さと高さが現れている。ガハクも「今までで一番いい顔になった」と言う。

バージニア・ウルフは自分の仕事部屋を持つことに固執した。女の人が、誰にも邪魔されない時間と空間を持つことがあの時代に如何に困難だったか。彼女も自分には春がふさわしいと思っていたと知って、なんだか嬉しくなった。生まれ変わろうとする人を草木も風も後押ししてくれる。

「人はなんで生きているんだろう?」という問いに答えてくれるのが春だ。(K)



2021年4月4日日曜日

一同に並ぶ

こうやってだんだん棚に置いていくと、部屋の中がずいぶんスッキリとして来る。それに、こんな風にこれまで作ったものを一度にぜんぶ眺めるのは、初めてじゃないかな。

どれもこれもぜんぶ彫り直したいと思っていたのだけれど、少し気持ちが変わって来た。良いものもある。あの頃じゃないと彫れなかっただろうと思える形もある。

大理石の比重は2.8で重い。がっちりとした頑丈な棚でないと重さに耐えられないのだ。途中に突っかい棒の幅木も入れた。レリーフが振動で倒れないようにと、留め具も工夫して取り付けた。

明日も棚を作る。南側の窓辺に取り付けよう。カウンターのように長い棚を。(K)



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