2021年1月16日土曜日

煙突掃除

 今日は煙突掃除から始めた。廃材を処理しながら解体作業を進めているので、ストーブの燃焼力は大事なんだ。ところが、またもや煙が逆流。途中のどこかで詰まっている。

暖炉のように焚き口から排出口まで縦に真っ直ぐに伸びる構造なら、何の問題も発生しない。でも私のアトリエの煙突は3度も曲がる。そこに煤やタールが溜まるのだ。

筒を外して分解掃除してたら2時間近くかかったが、煙は紫色になった。ストーブにかけたヤカンのお湯もすぐに沸いた。

夕暮れにバンコ置き場と薪置き場を解体して、今日はここまで。自転車だから、明るいうちに帰らなきゃ♪(K)



2021年1月15日金曜日

精霊から逃げた

今朝ガハクは凍った山道でツルンと滑って転んだそうだ。そのこと自体は別に危ないこともなかったそうだけど、その時にそこに「精霊がいたんだよね」と言う。

山から滲み出て来た水が夜になると凍って、その上にまた水が流れては凍る。氷はだんだん厚くなって、道を白く覆う。そういう場所を見つけると突いてみたくなるのが、子供の意識。子供のやることには意味がある。理由はない。

コツコツと棒で突いてみたら割れたので、面白くなって少しずつ場所を変えながらあちこち突いていたんだそうだ。そしたら、ツルンって。

「精霊から慌てて逃げたよ」と言う。つい道草をしてしまったからだ。ガハクによれば、天使と精霊は違うのだそうだ。「トワンは天使だけど、精霊じゃない」という説明で十分納得し、理解できた。

今朝の出来事がさっそく絵の中に描かれている。白い霊気と赤い情愛が溶け合う森だ。(K)


 

2021年1月14日木曜日

鼻が匂いを嗅ぐとき

 トワンの鼻を彫っていて気が付いた。いい形になって来たなと思った時に、鼻がふっと浮き上がって見えたんだ。鼻だけが空間に浮遊している感じ。

スエデンボルグが面白いことを書いていた。耳は、音のするところに出かけて行くと言うのだ。トワンが耳を澄ましている時、間近にその実態を見ていたということになる。

 目もそうだ。見たものに感動した時、目はそのものに触れんばかりに近づいている。雲の間を飛べるようになったからこそ、ガハクは雲が描けるようになったのだ。

ウォーコップによれば、光というものは無いという。遠くにライオンを見つけたシマウマは、その距離からして今は危険はないと見て、安心している。(『ものの考え方』O・S・ウォーコップ)

ライオンを見ているだけか。今を生きるものたちの器官はいつも冷静で正常に働いている。(K)


 

2021年1月13日水曜日

挑んでこそ迎えられる

山の湧水は、すっかり凍っている。庭の蛇口からは久しぶりに水が出たけど、彫刻のアトリエの水はまだ出ない。ポリタン2本に水を汲んで車で出かけた。

今日からいよいよアトリエ本体の取り壊しに取り掛かった。まずは、軒下に積み上げてあるバンコ(石の下に当てがう木材)の選別から始めた。軽くて丈夫なのがいい。短いのから長いのまで、これから石を運び出すのに必要な本数だけを広場の隅にまとめてシートで包んだ。残りは全部薪にする。相当な量になった。

丸鋸を両手で抱え、足で木材の片方を押さえ、次々と切って行く。耳栓とイヤーウォーマーを嵌めれば快適だ。谷間に響き渡る丸鋸の音。煙突から立ち昇る煙が紫色になったら、薪を焼べに部屋に入る。

夕暮れの5時半に作業終了。薄い紅茶を入れて柚子ジャムサンドイッチを食べてから、トワンの唇を彫った。(K)


 

2021年1月12日火曜日

雲が描けるようになったのは

こんな雲も描けるようになったんだねと言ったら、「何かに見えるようなのが嫌だったから何とかそれを避けようとして描いてい来たんだけど、今は何かに見えても構わないと思って描いている。それが良かったんだな」とガハクは、雲が遊んでいる空を見上げながら話してくれた。

雲はいろんなことをする。涙をこらえて見上げていると、どんどん流れて拭い取ってくれる。苦しい時に見た空の方が記憶に残っている。

奇跡のような美しい空も見た。金色とオレンジ色に真っ二つにくっきりと分けられた空の異様な輝きに見入った。光を分けているのは、黒い雲だった。(K)



2021年1月11日月曜日

トワンが来るよ!

頭の形が良くなったから、トワンらしくなって来た。削り過ぎたところを補うのは、天頂の膨らみと、目だ。耳はこれ以上細くはできない。2匹の耳がくっ付いているからこそ、この細さを保っているのだ。でも、もう動かすことなんか考えなくても良いんだ。そっとうちまで運んだら、後はずっとそこにいればいいんだし。もう遠くに行く必要はない。旅は終わった。

 ずいぶん長い間つまらないことでクヨクヨしたり小さなことでケンカしたりして来たけれど、これからはどうでもいいことで体や心を消耗することは止めよう。「(今年は)トワンが来るよ!」というガハクの予言は、そういう意味だ。じっと見つめて来る目の中に 愛がある。(K)


 

2021年1月10日日曜日

ウハチさんの柱時計

ネジを巻いていないのに 昨日も今日も止まらずに動いている!不思議なこともあるもんだ。時計に向かって「ウハチさん!」と呼びかけた。この建物のことをいつも「工場(こうば)」と呼んでいたウハチさんに許可をもらった気がして、なんだか嬉しくなった。これからここを根拠地として仕事をする私への励ましのようにも感じた。

半分吹き抜けになっているのは、ワックスが舞うからだろうか?最初にここに入った時、壁や床に蝋がびっしり張り付いていて驚いた。早速ガハクとヘラでせっせと剥がして回ったのだった。今はすっかりワックスの痕跡も消えて、ボイラーも煙突も取り外したから、何も言わなきゃここが蝋燭工場だったなんて誰も気が付かないだろう。

この高さがあれば、300号の絵だって描けるだろう。ダビデくらいの彫像も作れるだろうけれど、出すのが大変だ。壁を壊さなきゃ外に出せないだろう。でも、もうそんなことはやらなくていいんだ。

今日は片付けは少しだけにして、三日振りにトワンを彫った。ガハクの胸に砥石もかけた。千里の道を歩くなら、日々の超自然のパンを忘れずに食さねば、歩き疲れて目的地に着いた途端に死んでしまう。今夜は四日振りにバイオリンを弾いた。ガハクがギターを弾いている。(K)


 

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