2023年8月22日火曜日

Kのその後










 Kのその後を報告すべきだった。
2022年5月21日の午前3時に電話で起こされた。病院からですぐ来てくれと言う。何度も通った道ではあったが夜中の走行は初めてだった。昼間より早く着き裏口から入ると看護師に案内され病室へ。転院時以外週に一度ネットで見るしかなかった彼女を間近で見る。静かに寝ている。懐かしい人に会ったような気持ち。
やがて医師が入って来て死亡を確認する。午前4時ちょうどと言う事だった。
看護師に部屋から追い出され暫くして呼ばれて入った。やっぱり眠っている。名前を呼んでみたが相変わらず返事はない。君は死んじゃったんだってね。
二人きりでマスクなしでベッドの傍に座っていた。肩を抱いてみる。予期した通りにか細くはなっていたが間違いなく彼女の体だ。薄く口紅が引かれている唇に接吻した。

大晦日の救急車の中で交わした会話と眼差しを見て以来、半年近くをずっと眠ったまま彼女は逝ってしまった。享年69歳。ガハクの70歳の誕生日の三日後だった。Kyokoちゃん。今どこにいるんだい?いっぱい彫刻が残っているよ。俺はどうしたらいいんだろう教えてくれよ。
 Kのいないガハクなんだよ。



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