2020年7月11日土曜日

力が宿る胸

胸をえぐると、中から膨らみ返して来る。気が付いたところを次々と削ってみる。この人の胸はそういう彫り方でしか追及できないようだから。動いて行くものを止めないこと、固定しないこと、予測しないこと、形になるのを待つことだ。

生きている形と死んでいる形ははっきりと見分けがつく。それが見えない人、見ようとしない人は、私とは関係ない世界に属しているのだろう。気にすることはない。

「大きく息をすると、(以前だったら、すぐに底に着いてしまったが)今は、いつまでも深く吸い込める」とガハクは言う。そういう柔らかな内部を包んでいる薄くて爽やかで強靭な胸を彫りたいのだ。(K)


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