2020年6月1日月曜日

リアリティ

指の関節の深い皺と肉の膨らみ。やればやるほど形は繊細になって行くけれど、却ってシンプルに見えるのは何故か?そうなっている理由まで彫るからだ。

絡まる糸をほぐして、真っ直ぐになった糸をもう一度巻き付ける作業をやると、形は輝く。頭の先から指の先までひと繋がりになった時、あゝこのような手を持つ人だからこういう顔をしているのかと思う。あるいは、この人の顔にはどのような手がふさわしいのかと考えてみる。

見たものを 見ているものを彫っただけでは、まだ彫刻ではない。写実というのには限界があって、その先まで行き、もう一度抽象化した時に初めて生きた形になるのだ。(K)


よく見られている記事