2020年5月6日水曜日

会いに来た鳥

いつの間にか、赤い鳥が描き変えられていた。振り返ってMの家族の方を見つめている。

「自分から取りに行かなくても向こうからやって来るからここで待っていればいいよ」と叔父に言われたのはもう36年前のことだ。あの時、ビデオカメラを抱えて山の駅に降り立ち、周りの風景にノスタルジーを刺激された叔父は、しばらくそのまま駅のベンチに腰掛けていたいようだった。

ほとんどの人は、相手に言っているようにして、ほんとは自分に言っているような言葉を吐く。叔父だってそうだ。きっと昔の自分にそう言ってやりたかったのだろう。お金を稼ぐために東京に出て、昼と夜の二つの仕事を掛け持ちして稼いだお金で事業を起こした人だから。

コロナのせいで小さな会社や事業が潰れて行く。虚業と芸術が混同されて行く。仕事とは何か?目的は何か?本当にやりたいことか?金になればどんなことでも?

『Mの家族』の継承者であった赤ん坊は街に出た。そして66で亡くなった。今霊界の森の中に小さな楽園が生まれようとしている(K)


よく見られている記事