2020年5月29日金曜日

木の人たち

ガハクは山の中で木に話しかけるそうだ。それは独り言というのとは違う。
 たまたま動いていたラジカセに ガハクが猫に話しかけている声が録音されていたことがある。たわいも無いことを話しているのが楽しかった。人は誰も見ていない時に、演技的な効果を狙うわけでもなく、自己も利己も忘れて何を話すか?どう振る舞うか?だあれも見ていないのだ。

アメリカインディアンの言い伝えに、リーダーを選ぶのに、子供へ話しかけている様子を観察すればよいというのがあった。小さなもの、弱いもの、動かぬものにどう振る舞うかを。

幼い子供達に教えていると、ときどきどうしようもない悪ガキが現れる。保育者も(保護者でさえw)ギブアップなほどの暴れん坊だ。私一人じゃ無理だっただろうが、ガハクと二人でその子のことを話し合うと、彼が耳を澄まして黙って聞いているのがひしひしと伝わって来た。1週間後には、彼の中に言葉が入っているのが分かった。

誰も見ていないと思っていても誰かに必ず見られている。私はずっとガハクを見て来たもの。(K)


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