2019年7月12日金曜日

天使の足

トワンには彼女がいなかった。交わったことはないはずだ。去勢はしていない。と言うのも、トワンが一歳になった頃村の獣医に相談したら、じっと犬の顔を見つめて「この犬は大人し過ぎるからやらない方がいいだろう。やると怯えるダメな犬になっちゃうから」と言われたからだ。確かに発情期の時期でも遠走りもせず、山に散歩に出てもいつものペースを保っていた。シェパードの血が入っているのか、仕事中はいつも冷静だった。散歩、庭の見張り、彼にとってはそれら全てが仕事だった。

そんなことを思い出しながらトワンの足を彫り直していると、足先の丸みでさえ愛おしく思えてくる。(K)


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