2021年4月16日金曜日

40年ぶりに彫り直す

40年前に彫った御影石の彫刻を彫り直すことにした。

3年前に突如倒れていたのを発見した時は、ずいぶん動揺した。誰が倒したのか、何があったのかすぐには理解できなかった。後で分かったのは、周りに密生していたリュウノヒゲという柴草が枯れて、地面に空洞が出来たから傾いてしまったのだった。

あの巨大な地震でも倒れなかったのに、草が枯れただけで簡単に倒れてしまうのにも驚いたけれど、除草剤をしつこく散布している隣人にも腹が立った。あの人のことをずっと怪しいと思ってもいた。

でも今は違う。この彫刻は重心がずれていて不安定なのだ。美術館の床ならまだしも、地面の上に設置していてはダメだったのだ。形も悪い。いつか彫り直そうと思っていた。でも、体力も時間もなかったんだ。

それが、解体作業で鍛えられ、気持ちもすっかり明るくなり、やる気が自然と湧いて来た。製材所のバイトも効果があった。まだやれるという自信が出たのだ。

「何が何の役に立っているのか最後まで分からないものだねえ」と運命の不思議について夕飯を食べながらガハクと話した。(K)




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