2020年6月18日木曜日

裏庭

真夏でもここに立つと、スーッとする。この裏庭を抜ける風がいちばん涼しいんだ。白い人の谷からまっすぐ入って来る沢風がここを通るからだ。

ブロック塀の向こうに見える家に以前住んでいた。あの頃は、向こう側からこの庭の鬱蒼とした大木のモミジと月桂樹の枝落としをガハクと二人で汗びっしょりになってやったのだった。今はこっち側に住んでいて、昔の家からはみ出して来る枝を切っている。どっちに住んでいても、やることは同じだ。

人は用で動かされる。人はその目的によって判別される。
 木が邪魔だから切るんじゃない。嫌がらせでやるんじゃない。だから正々堂々とできるんだ。領地を広げようとか、盗もうとか、支配しようとするから、魂胆が見破られて争いになるのだ。

自分の器でしか他人は見れないという限界はあるけれど、思うがままに行くが良いと言われたからそうしている。ガハクが生還してからは、まっすぐにものが言えるようになった。動きもスムースになった。今日はケガも事故もなく無事にトゲトゲのあるピラカンサを伐採できたのは、トワンが見張っていてくれたからだろう。裏庭がすっかり明るくなった。(K)


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