2019年8月15日木曜日

人は見たいものを見せられるのだ

映画『ゆきゆきて神軍』の裏話を聞いていたら、昨夜見えていたものが色褪せて行った。映されていたものは作られていたもので、予め操作され意図されたものが介入していた。演技的で露出狂的な人物だというのは映画の中にも写り込んでいて分かってはいたけれど、その後の彼の生き様を知ったらガッカリした。世間は名声を渇望している。だから名声を得た者には容赦がない。恥部を探り当て暴き出し、頭がいい奴がそれを売り物にする。

だから本当に美しいものは今の世の中には現れないだろう。隠され続けなければ世間の暴力から守れないからだ。世間が匿名で振るっている暴力に比べたら、奥崎謙三の激昂は純真に見える。彼の宗教観は聖書を読み込んだことが軸になっているのだそうだ。万軍の主を後ろ盾にして皇軍に単独で挑んだ元気な子が、青い馬に跨って荒野を駆け回っている。そんな想像をしている深夜である。(K)


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