2019年5月25日土曜日

レースの手袋

あの頃はまだ自信がなくてここまでしかやれなかったのだけれど、この片方の手にはレースの手袋を彫りたかったのを思い出した。まずはゴム手袋をはめたようなぬるっとした手の形を磨いて、それから、そのツルツルになった滑らかな表面にレース模様を尖った鑿で刻もうという計画だったのだ。

でも、これから先の途方もない時間を想像して躊躇した。

幸いにして世に見放された私は今その続きを彫っている。
「あの彫刻はきっと良くなるよ」とガハクが予言してくれている。(K)


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