2018年10月21日日曜日

人の子のようなもの

 「人の子のような者が現れて唇に触れたので、やっと口を開いて喋ることができた」というくだりが好きだ。幻ではなく実在する天使たち。愛しいものの姿を見るだけで愉快になるのに、ましてやその手に触れられたら頑なな心もほぐされるだろう。グワーッと満たされるあの熱い勇気は、恐怖からは決して生まれない。若い頃の戦闘的アドレナリンでは補えない、今向かおうとする美しい世界に向かって飛び立つための大きな翼が与えられた。小さな羽ばたきが歌なら、大きな翼は深慮のことだ。
 夜はトーストとカフェラテで簡単な食事にした。パンを焼いていると、ガハクが面白いことを言う。
「意識の改革は、例えばカネはあるに越したことはないというのじゃなくて、無い方がいいということなんだよ」誰も理解できないし向かおうともしないからこそ、これが意識の革命なんだな。(K)



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