2020年12月19日土曜日

彫刻を見る目

 彫刻は、大昔の人たちの方が見る目を持っている。牛や馬がいて、犬や猫がそこらを歩き回っていた。朝になると鶏の声が聞こえた。音や声を聞けば、その姿を思い浮かべることができた。

ときどき山からぴゅーっと鋭い口笛のような声が聞こえて来て、ずっと猿だと思っていた。ところが、ガハクが山散歩を毎日するようになって、あれは鹿の声だと分かったんだ。歩いていると、突然近くてぴゅーっと鳴いて斜面を駆け上がっていく。

アオサギの声も覚えた。ギャーッギャーッと汚い声で叫びながら飛ぶ。たまに大量の糞を上空から落としたりもする。あんなに大きな鳥が絶滅もせずに川に舞い降りたりしているのを眺めるのは、楽しい。脅かさないように、横目で観察しながらペダルを漕ぐ。彼らは神経質で、視線を感じるとすぐに飛び立つ。

横からのシルエットがやっと決まって来て、後頭部の形を探り始めたところで今日は時間切れ。置物の犬から、生きている犬になりつつある。(K)



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